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一般データ保護規則 (GDPR) とは

欧州連合 (EU) 全体のデータ保護およびプライバシー法は、一般データ保護規則 (GDPR) によって更新され、統合されました。これは 1995 年の EU データ保護指令に替わるものです。

欧州議会は、2016 年 4 月 14 日にデータ保護法を承認しましたが、発効は 2018 年 5 月 25 日でした。このため、多くの人が GDPR を 2018 年のデータ保護法と呼んでいます。

GDPR は、EU の 28 のすべての加盟国のデータプライバシー法を和合させ、個人の権利と保護を強化しました。この登場は、EU の消費者のデータプライバシーに対する懸念が高まったことがきっかけとなりました。

RSA Data Privacy & Security レポートでは、消費者の 41% がデータプライバシーへの信頼性の低さや煩わしいマーケティングへの懸念から、不正確な個人情報を企業に提出していることがわかりました。また、調査対象となった世界中の消費者の 90% が、個人データの損失、操作、窃盗に対する懸念を示しています。

多くの人が GDPR を、権利の見直しではなくデータ保護およびプライバシーに関する革命と評しています。新たな指令では、ビジネスの透明性の維持を重視し、消費者のプライバシー権 (データ主体) の拡張に焦点を当てています。たとえば、重大なセキュリティ侵害を検出した企業は、72 時間以内に監督当局と影響を受けるすべての個人に通知しなければなりません。

GDPR の要件は、データを収集する企業が EU を拠点とするかどうかに関係なく、EU 加盟国民が生成するすべてのデータに適用されます。情報が EU に保存されているすべての人 (EU 加盟国民以外を含む) にも影響します。さらに、規則に違反する企業には高額の罰金が科せられます。

GDPR とは

GDPR とは、一般データ保護規則 (General Data Protection Regulation) を表します。企業と組織に EU 加盟国内で発生する取引での EU 加盟国民のデータとプライバシーの保護を要求する規定を含むデータ保護法です。企業が個人データを EU 外部へエクスポートする方法についても規制しています。

GDPR は各加盟国のデータ保護ポリシーを調整し、一貫した 99 条項を策定したものです。その結果、人々が情報にアクセスできる方法と企業が個人データを扱うときに従うべき制限事項を拡張する、世界最強のデータ保護標準と見なされるようになりました。

GDPR は、大規模なデータ処理およびデータ主体監視を実行する企業と組織に、データ保護責任者 (DPO) を置くことを求めています。DPO は、GDPR に対する企業のデータガバナンスとコンプライアンスに関する責任者です。

GDPR 規則に準拠しない企業には、2,000 万ユーロ (約 2,026 万ドル) または年間売上高全体の 4% の罰金など、法的な影響がもたらされます。さらに DPO では、個人データを維持するために適切なデータ保護原則が確実に適用されます。

GDPR の目的

GDPR の存在理由は、プライバシーへの社会的関心です。インターネットが現代のオンラインビジネスのハブとなるはるか前に制定された、1995 年の EU データ保護指令に替わるものです。企業がデータを収集、変換、保存する方法に対応できない古い指令を置き換えるためには、GDPR が必要とされたのです。

現在、GDPR が EU の全住民とそのデータを保護し、データを収集および保存する企業が責任を持ってデータを保護するようにしています。企業には、個人データの安全な保持を義務付け、不正または違法な処理、損害、破壊、偶発的な損失からデータを保護することが求められています。

また、GDPR では、個人データを収集する理由を特定し、それが特定の正当な目的のためでなければならず、企業はその意図以外にデータを使用してはならないことを規定しています。この規則は組織と企業が収集できるデータの量の制限にまで及びます。データの収集は企業がデータを処理および使用する目的のために必要なものだけに制限されることを規定しています。

さらに、GDPR では、データを収集する企業がデータの正確性を確保し、必要に応じて更新することが規定されています。

企業は、以下の規定の条件を満たしていない場合、個人を特定できる情報を合法的に処理できません。

  • 個人 (データ主体) の明示的な同意を得ている
  • データの処理が法的義務への対応のために必要である
  • データの処理が、個人との契約を履行するために、または個人と契約を締結するために必要である
  • 処理が個人または第三者の利益を保護するものである
  • 公益業務の履行のために、または管理者に与えられた職務上の権限を履行するために処理が必要である
  • 第三者または管理者が追求する正当な利益のために処理が必要である (ただし、データ主体の権利、自由、利益が前者のそれらよりも優先される場合を除く)

GDPR の適用対象

GDPR を課す目的は、加盟国で統一された EU データセキュリティ法を使用して、各加盟国がさまざまなデータ保護法を作成して施行する必要がないようにすることです。さらに、GDPR は EU で生まれましたが、この地域以外のグローバル企業にも適用されます。

たとえば、米国を拠点とし、EU で事業を展開し、EU 居住者および市民のデータを収集して処理する企業に適用されます。PWC の調査では、米国拠点の企業の 92% が GDPR データ保護を優先事項と見なしています。

その他の企業向けのコンプライアンス条件は次のとおりです。

  • 欧州連合加盟国でのプレゼンス
  • EU 市民のデータを処理する事業体 (企業が地域内に存在しない場合を含む)
  • 従業員数が 250 人以上の企業
  • 従業員数が 250 人未満の場合でも、データ処理がデータ主体の自由と権利に影響する企業 (特定の種類の個人データを含むか否かは問わない)

GDPR では、個人データの保護に重点を置いています。個人データとは、生存している人を直接または間接的に特定する情報です。氏名、場所データ、明確なオンラインユーザー名などの明らかなものもあれば、cookie 識別子や IP アドレスなどの不明確なものもあります。

また、GDPR では、以下に関する情報など、機密性の高い個人データカテゴリの保護を強化します。

  • 民族または人種的起源
  • 信仰
  • 生体認証データ
  • 政治的見解
  • 遺伝子データ
  • 健康情報
  • 性的指向または性生活
  • 労働組合への加入

個人の特定を可能にするものという個人データの定義は極めて重要なものです。つまり、仮名化されたデータもこの広範な文脈においては個人データに分類されます。GDPR で個人データが極めて重要なのは、この法の対象が個人データを処理または管理する個人、企業、および組織であるためです。

GDPR では、以下の 3 つの役割を定義しています。

  1. データ主体: 個人データの所有者
  2. データ管理者: 収集する個人データの種類とその使用方法を決定する
  3. データ処理者: 管理者のために個人データを処理する

管理者は意思決定者であり、個人データの処理とその目的、用途を管理します。個人データ共同管理者が存在する場合もあり、収集したデータの処理方法を 2 つ以上の事業体が決定します。一方、処理者は、適切な管理者の指示に従い、管理者に代わって処理を実行します。このため、管理者には、処理者よりも厳格な規則が適用されます。

GDPR による顧客の保護

ユーザーは、個人データを収集して使用することを希望する組織や企業に同意する必要があります。この場合、個人データとは、生存し、特定されている、または特定可能な自然人 (通常はデータ主体と呼ばれます) に関する情報のことです。

前述のとおり、個人データには以下の情報が含まれることがあります。

  • 氏名
  • 識別番号 (ID)
  • 場所データ
  • データ主体の身体的、遺伝的、精神的、経済的、文化的、生理的、または社会的アイデンティティに固有の情報
  • 指紋や顔画像などの生体認証データ
  • 人種または民族情報
  • 医療関連情報
  • 組合加入

GDPR は、オンラインサイトへの訪問者に cookie などの収集されるデータについて通知することを企業と組織に義務付けています。訪問者は、同意ボタンをクリックして情報の提供に同意する必要があります。たとえば、多くのサイトには、サイトが cookie (サイト設定などの個人情報を保持する小さなファイル) を収集することを訪問者に通知するポップアップ開示が用意されています。

Web サイトでは、企業またはサイトが保持する個人データが侵害された場合、訪問者とユーザーに早期に通知する必要があります。これらの EU データ保護要件は、ほとんどの場合、他の法域における要件よりも厳格です。

その他の必須事項には、Web サイトのデータセキュリティの評価、このような職務を実行するためのデータ保護責任者の配置要件などがあります。また、企業は、DPO およびその他の関連従業員の連絡先情報を提供し、その GDPR 権利を履行する際のアクセスを容易にする必要があります。これらには、特に個人データをサイトから消去する権利が含まれます。

GDPR は、企業とその他の収集者が収集した個人データを匿名化または仮名化し、ID を仮名に置き換えることによって消費者の保護をさらに強化します。これらの対策により、企業は、ローンの弁済能力評価のための要件範囲を超える顧客の平均負債比率の評価など、より広範なデータ分析を実行できます。

顧客から収集したもの以外のデータにも、GDPR が影響を及ぼすことにも触れておく必要があるでしょう。たとえば、規則は従業員の人事記録にも適用されます。

EU GDPR の要件

EU GDPR には 11 の章と 91 の条項があります。以下は、企業のセキュリティ運用に影響を及ぼす主な条項です。

  • 第 17 条および 18 条は、自動的に処理される個人データに対する制御をデータ主体に付与します。したがって、データ主体は、異なるサービスプロバイダ間でそのデータを容易に転送できます (移行の権利)。また、特定の状況でデータを消去するよう管理者に指示することもできます (消去の権利)。
  • 第 23 条および 30 条は、個人データを漏えいや損失から保護するための合理的な対策を実装することを企業に求めています。
  • 第 31 条は、単一のデータ侵害に対する要件を規定するものであり、監督当局への侵害の 72 時間以内の通知と具体的な詳細の提供が含まれています。
  • 第 32 条は、データ主体の権利と自由に影響を及ぼすリスクが発生した場合、侵害を速やかにデータ主体に通知することをデータ管理者に要求します。
  • 第 33 条および 33a 条は、データ保護の効果に関する詳細な評価を実施することを企業に求めています。この評価は、リスクの特定と適切な軽減プロセスの特定に役立ちます。
  • 第 35 条は、データ保護責任者の任命が必要となる条件を規定しています。たとえば、企業の規模と収集する個人データの性質によっては、DPO の配置が必要になることがあります。企業は、人事目的で従業員の個人情報を収集する、または遺伝子データ、健康、民族的起源、人種、宗教的信念など、機密扱いとなるデータ主体の情報を収集する場合に DPO が必要になります。
  • 第 36 条および 37 条では、GDPR コンプライアンス遵守のための DPO の配置および配置責任が要約されています。
  • 第 45 条は、EU 市民の個人データを収集または処理する国際企業のデータ保護要件を拡張して規定したものです。これらの事業体は EU を拠点とする事業体とまったく同じ要件の対象となります。
  • 第 79 条では、GDPR コンプライアンスに違反した場合の罰金と罰則が要約されています。

GDPR の原則

GDPR 法の第 5 条には 7 つの基本原則が規定されています。これらの原則は、企業がユーザーのデータを取り扱う方法の指針となるものです。従うにあたって複雑な規則ではありませんが、GDPR の目的を示すように設計された優先フレームワークです。

多くの原則は、以前のデータ保護法の原則と同様のものです。7 つの原則は次のとおりです。

  1. 合法性、公平性、透明性: 企業が個人データの使用方法をデータ主体に通知する
  2. 目的の制限: 企業は、特定の目的のためにのみデータを収集できる
  3. データの最小化: 収集するデータは、企業が特定の処理に必要なものに限定する
  4. 保存の制限: 企業は、収集したデータを必要とされる期間を越えて保持しない
  5. 正確性と更新: データを収集および処理する企業は、その正確性を確保し、更新する。また、データ主体の要求に応じて、データを変更または削除する必要がある
  6. 整合性と機密性: 企業は、適切なセキュリティおよび保護対策を適用して、個人データを窃盗や不正アクセスから保護する必要がある
  7. コンプライアンス: データ収集は GDPR を遵守する必要がある

GDPR での個人の権利

GDPR の上記の原則は、データ保護法に基づくデータ主体の特定の権利に基づいています。これには、次のような権利が含まれます。

  • アクセスの権利: データ主体は、企業が自身に関して保存するデータにアクセスし、確認できる
  • 忘れられる権利: ユーザーは、企業のストレージからの自身の個人情報の消去を要求できる。この決定については、企業が法的根拠を示した場合は要求を拒否できる。
  • 異議を唱える権利: ユーザーは、個人データの収集、処理、または使用許可を拒否できる。この場合も、決定について十分な法的根拠を提供した場合に限り、企業は拒否を無視できる
  • 移行の権利: ユーザーは、自身のデータにアクセスし、転送できる
  • 訂正の権利: ユーザーは、不正確なデータの訂正を要求できる

GDPR の違反と罰金

個人データに影響を及ぼすセキュリティ違反が発生した場合、データ管理者は、72 時間以内に監督当局 (EU 加盟国が GDPR コンプライアンス監督のために指定する公的機関) に通知します。違反に関するその他の通知要件は次のとおりです。

  • 指定された監督当局への通知の遅延理由
  • 最小限の違反通知には違反の性質、データ主体の侵害されたデータの種類と数、関係するデータレコードの数を含む
  • 一般への発表によるすべての被害者へのデータ侵害の直接通知
  • データ侵害の考えられる影響とその軽減対策の詳細な説明
  • データ管理者は、違反および適用される軽減措置に関するあらゆるものを文書化してから、コピーを検証のために監督当局に提供する必要がある

GDPR では、規則の違反者に対して段階的に罰金を科します。侵害の範囲と種類に応じ、2 つのレベルの罰金があります。

  1. 最初の罰金レベルは、1,000 万ユーロと企業の前会計年度の全体の年間売上高の最大 2% のいずれか多いほうの金額。
  2. 2 つ目の罰金レベルは、2,000 万ユーロと企業の前会計年度の全体の年間売上高の 4% のいずれか多いほうの金額。

2016 年の GDPR の展開後にほとんどの企業が注目した最大の論点は、規制当局がコンプライアンス違反に対して厳しい罰金を科すことができるようになった点です。規制当局は、個人データの不正な処理、義務付けられているデータ保護責任者の不在、セキュリティ違反など、どのような違反に対しても企業に罰金を科すことができます。

GDPR と第三者のデータ

GDPR には、第三者の個人データ (EU のデータ主体以外の関係者からのデータ) と地域外での個人情報の共有に関する複数の規則があります。2018 年のデータ保護法では、以下が規定されています。

  • データ管理者は、個人データを国際組織または別の国に転送するための許可を得る必要がある
  • データ管理者は、データ主体以外のソースから収集されるデータの詳細な説明とその起源を提供する必要がある

英国は EU からの離脱後、データ保護法を更新し、現在は 2018 年のデータ保護法を使用しています。EU の顧客や企業と取引のある英国企業は GDPR を遵守する必要があることが規定されています。

GDPR がデータ処理者とデータ管理者に同等の責任を課していることに注目してください。つまり、第三者の処理者によるコンプライアンス違反は、企業のコンプライアンスステータスに影響を及ぼします。法令では、チェーン内でのレポート違反についても厳格な要件が定められています。

したがって、管理者の SaaS ベンダー、給与支払サービスプロバイダ、クラウドプロバイダなどの処理者や顧客との既存の契約では、各自の責任を明確にする必要があります。また、契約には、データの管理、収集、保護、保存と違反報告のための一貫したプロセスも含める必要があります。

GDPR コンプライアンスを確保する方法

では、企業がGDPR コンプライアンスを確保するにはどうすればよいでしょうか? 規則には、責任あるデータ管理に想定される結果は記述されていますが、その目標を達成するための技術的な対策は規定されていません。以下は、GDPR コンプライアンスを確保するためのベストプラクティスです。

  • 個人データを収集する前に常にデータ主体に確認する
  • 使用するか否かに関係なく、収集したすべてのデータに対して企業は責任を負うため、必要なデータのみを収集する
  • 保管中および転送中のデータを暗号化する
  • ユーザーの同意や監督当局の承認なしに、データを他の事業体を共有しない
  • すべての個人データの最新かつ安全なバックアップを別々のオフサイトの場所に少なくとも 2 つ保管する
  • 特定のデータ項目の編集または削除、すべてのアクションの検証、すべての文書化を簡単に行うためのツールと機能に投資する
  • GDPR を読み、すべての要件を理解する
  • 他の企業が何を実行しているか、GDPR がその業務にどのように影響しているかを確認し、そこから学ぶ

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